北里柴三郎と後藤新平 ―世界的細菌学者と近代行政の先覚者との絆―

野村節三25

2,750円(税250円)

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著者:野村節三(北里大学名誉教授)
出版社:東海新報社
発行年:2014年
商品の寸法:A5版
頁数:376頁
上製本・カラーカバー付
ISBN978-4-905336-11-2
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内容紹介

野村先生2 平成20年に「社団法人・北里研究所」と「学校法人・北里学園」が統合されて「学校法人・北里研究所」となり、同年、北里大学海洋生命科学部があった大船渡市と「連携協定」が締結され、翌年、その1周年記念として大船渡市で初めて「北里柴三郎記念展」が開催された。それを機に著者・野村節三氏(北里大学名誉教授・理博)は「東海新報」に表題の記事を寄稿し、平成21年5月から翌年7月まで69回にわたって連載された。
本書は北里大学創立50周年(平成24年)と北里研究所創立100周年(平成26年)を祝して、その新聞連載記事を基に全面的に改訂・追加して書き上げられたものである。

執筆の動機について、著者は北里研究所と北里大学での通算43年間に微生物の研究と教育に携わったことで、初代研究所長であった世界的細菌学者・北里柴三郎と、わが国の近代衛生事業の推進ほか、内政・外交に多大な貢献をした官僚政治家・後藤新平伯爵に関心を持ったことを挙げる。さらに、著者は本書出版の矢先に起きた「東日本大震災」に遭遇し、その復興計画に当って「関東大震災」直後に後藤伯爵が策定した「帝都復興計画」が大きな示唆を与えるとの思いもあった。

本書の内容は幕末から明治・大正時代を経て昭和初期までの歴史的背景に立って、北里博士と後藤伯爵の盟友関係を縦軸に、その生涯で接した多くの内外の先人との関係を横軸にして、ノン・フィクション的に二人の足跡を述べたものである。
また、著者は二人が共に幕末に生まれ、天災、戦争、伝染病、大事件などが相次いで起こった明治・大正・昭和初期までの激動の時代に、深い“絆”で結ばれ互いに支援して、近代日本の確立の一端を担って邁進した共通点の多いこの二パイオニアの波瀾万丈の生涯を顧みることは現代にも相通じて意義があり、その信念と足跡は現代人が心すべき道標であると述べている。

中には専門的な記述もあるが、関連する写真も多く掲載され、時代背景も分かりやすく解説されたユニークな伝記で、世界各地で天災、感染症、事件・事故等による大きな被害が後を絶たず、政治や科学分野での不祥事も相次ぐ現在、科学・教育・行政関係者等は言うに及ばず、広く一般の人々や次代を担う若い人達にも是非読んでもらいたい一冊である。

私達もお勧めします

東京農大名誉教授・農博・山本出氏

あたかも新幹線から車窓を見るがごとく、近景は走り去っても遠景はゆるゆると流れ、風景の全体像を掴むごときと言えよう。
北里柴三郎先生に関する本は数多くあり、そのいくつかは読了して大要は知っていた。
しかし、本書は北里柴三郎と後藤新平の二人を楕円の二焦点として、周辺の人物も含めて時代と時代精神を描き切っており、真にユニークな著述と思う。
その時代に生きた人物達の生々しい友情、反目、闘争、和解等を含め、いわば「坂の上の雲」(司馬遼太郎著)の医学・医療版ではないかと感じた次第である。
そればかりか、現在に繋がるところまで踏み込まれている。
それにしても、「盤根錯節」の人物、情勢、歴史、逸話などを巧みに整理、配列、評価された筆力に感銘した。

北里大学名誉教授・医博・中瀬安清氏

大変立派な力作を拝見、只々敬服するばかり。完璧な史書として永久に役立つ業績に違いない。

北里大学名誉教授・医博・斎藤博氏

厳しい環境の中で、永年にわたって壮大な構想を維持され、このような大作に取り組まれた努力に対し、尊敬の念を禁じ得ない。また、このような貴重な大作を「北里研究所創立百周年・北里大学創立五十周年」の記念すべき年に上梓されたことも誠に意義あることと大いに評価したいと考える。

浜松医大名誉教授・医博・吉田孝人氏

日本の近代史に残っている北里柴三郎と後藤新平を“絆”で結びつけ、日本の近代化に貢献した二人を一層浮き彫りにすることで、明治時代をより立体的に理解させてもらい、本当にその努力と才能に敬服し、素晴らしい本の出版を絶賛する。

元・陸前高田市教育長、現・陸前高田市芸文協会長、洋画家・熊谷睦男氏

長年培われた視点から、近代日本の偉大な先人の関係と偉業についてまとめられたことは、名著としてこれからの世代のあるべき道しるべとして後世に示唆を与えることと思い、その功労に衷心より敬意を表す。

兵庫県立柏原高校校長・大西伸弘氏(著者の母校)

早速、図書館の蔵書として生徒に供覧させて頂く。
生徒達は近代日本の礎を築いた北里柴三郎と後藤新平の二人の“絆”と彼らの生涯から多くの刺激を得て、これからの人生における一つの指針を得るのではないかと思っている。

産金遺跡研究会会員・関村雄司氏(『黄金の在処と行方』編集代表)

正に本書の”帯”のいう渾身の大作で、ユニークな二人の偉人の二本立て構成。
そして、鮮明な写真が本文の理解と印象を深める。
本書は目に優しく頭に入り易いと編集の真似事をする私の印象である。
政治家や科学者の言動が揺らいでいる昨今、本書は誠に時宜を得た書物であると強く思う。
多くの人々に読んで頂きたいものである。

奥州市立後藤新平記念館館長・橋力氏

“先見の明”により近代日本の礎を築いた二人の“絆”、生涯等に光を当て、膨大な資料を駆使して出版された本書。
激動の時代の北里博士、後藤伯爵の業績と二人の係わり、そして、年譜、人名索引、事項索引をも付され、素晴らしく分かり易い本当に良き高書である。

北里大学海洋生命科学部教授・水産博・橋明義氏

筆者も『北里本』を何冊か読んだが、本書により時代との関係が改めて理解できたことが随所にある。
両先達と関係の深かった人々の写真が各所に配置され、その小伝もある。あまた存在する歴史書のどれよりも時代認識が容易だ。
巻末には二人の年譜がある。
参考資料も出版年順に掲載されている。
13頁にわたる事項索引は見事である。
さらに、632名の人名索引。
北里と後藤を加えて一気に634名の歴史上の人物を知己として得たようだ。


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