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〜平成28年度 ふるさとおおふなとお話大賞”奨励賞”受賞作品〜
もも色ゆうびんきょく
The Pink Post Office

著者(文と絵):小松則也
出版社:イー・ピックス
英訳:Julian Amott
発行年:2017年
判型:A4変形判(257�×210�)
上製本:44頁
ISBN:978-4-901602-61-7
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<店主おすすめのポイント>
著者の小松則也さんは現役の小学校の教諭です。小松さんの生まれ故郷は大船渡市三陸町吉浜(よしはま)というまちです。吉浜は明治三陸大津波で大きな被害を受けた村でしたが、当時の村長さんが村人に高台移転を呼びかけ、町民あげて高台移転をしたため、今回の東日本大震災では死亡した人は1人だけで「奇跡の村」と報道されました。
そんな自分のまちの先人たちの誇りある決断やまちづくりの歴史を次世代に継承したいと、小松さんは懸命に活動しています。この『もも色ゆうびんきょく』の絵本もそんな小松さんたちの活動に役立てようと制作したものです。
絵本には英語の翻訳文もあり、三陸の津波の歴史を外国人に伝えるための数少ない貴重な本でもあります。
自然の脅威に対して、人の知恵や絆で向き合い、さらには時として恐ろしい姿を見せる自然と人とはいつの時代も共生していることを優しく教えてくれる本です。小学生の低学年向けの本ですが、BCPの観点での大人向けの教材としても有用です。英訳がついているので英語圏の子どもたちにも、日本人のメンタリティーを学んでもらう良い教材になるかと思います。



立ち読みしてみる


<筆者メッセージ>

旧吉浜郵便局は、明治、昭和の二度の大津波の度に被害に遭い、建て替えられ移転し、昭和11年に高台に位置する現在の場所に建てられました。ですから、津波と共に歩んできた吉浜地区の重要な文化財です。しかし、この旧吉浜郵便局は、廃局になってからすでに28年。老朽化に加え、東日本大震災の地震の影響を受け、破損が深刻な状況です。現状のままいけば、いずれは消滅することになります。本来であれば、修復・保存・活用を望むところですが、それも難しい状況です。そこで、せめて旧吉浜郵便局の存在を絵本という形に残し、後世に伝えようと考えました。
吉浜地区は、百年以上前に高台集団移転を成し遂げたことで、東日本大震災の人的被害を小さなものにすることができました。その偉業ゆえ、吉浜地区は「奇跡の集落」と呼ばれています。この奇跡は、偶然ではなく必然の奇跡です。その奇跡を象徴する建物が旧吉浜郵便局です。現在、往時を偲ぶ公的施設は、旧吉浜郵便局のみとなっています。
戦前戦後の昭和の時代は、生活が苦しいながら皆が希望に燃え最も活気があった時代です。当時は、公会堂も銀行も診療所もありました。地域の人達は、小包を出したり、受け取ったり、お金を出し入れしたり、子どもから大人まで誰もが足しげく吉浜郵便局に通いました。昭和生まれの人にとっては、忘れられない “ ふるさと”のような建物です。大きなカウンターや電話ボックスは、当時のまま残っています。

<著者プロフィール>
岩手大学教育学研究科修了。大船渡市立立根(たっこん)小学校教諭。東日本大震災をきっかけに、震災絵本を制作。絵本を活用し防災教育を行っている。また、地域においては「吉浜教えの里プロジェクト」を立ち上げ、町おこしの活動を積極的に行っている。
著書には他に『ふろしきづづみ』(ツーワンライフ)、『浜の命』(ツーワンライフ)がある。
著者の小松則也さん