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田老の町で生き抜いて
〜二度の津波を乗り越えたおサヨさんの物語〜

著者:田沢 五月
絵 :皺杏漾‥
発行所:宮古民友社
題字揮毫:宮古市長 山本正徳
印刷:あべ印刷(株)
発行年:2021年7月31日
判型:A5判
頁数:並製342頁
並製本・カラーカバー/帯付
別途送料198(税込)がかかります
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「田老の町で生き抜いて」—〜二度の津波を乗り越えたおサヨさんの物語〜

 岩手の内陸に暮らす私が故郷宮古市田老(旧田老町)の仮設住宅団地に一人の高齢の女性を訪ねたのは、発災の年の秋のことだ。
 明治三陸大津波のごくわずかな生き残りの一人を父に持ち、昭和三陸津波、東日本大震災津波という二度の大災害と、太平洋戦争を生き抜いた赤沼ヨシさんだ。
 当時93歳のヨシさんは、木綿の着物に白い割烹着姿で愛想よく迎えてくださった。
「おらは、童(わらす)のころがら、『じょうぱり』で親にはよぐ怒られ、皆さまにはご迷惑をかげ、助けられできあんした」
『じょうぱり』というのは、強情っぱりという意味だ。
 笑うたびにふくよかな頰が揺れる。何より高齢とは思えない、その記憶力には驚かされた。
「おらは昭和の津波のどぎは15歳だった。逃げで、逃げで、やっと助かったのす。今度の津波でも助からねえど思ったども、こうしてまだ生がされだ。こんなおらにも、まーだ何がやるごどが残っでいるんだべがねんす」
 ヨシさんの口から次々に飛び出す大正時代からの町の出来事は、初めて聞くことの連続であった。
 今、東日本大震災からの復興工事で町は刻々と変化し、昔の面影が消えていく。
 ヨシさんの語る町の記憶を少しでもすくい取り、伝えたいとペンを取った。
         (本書「はじめに」より)

本書には津波常襲の地に暮らす人々の生き様や、大正、昭和の習わし、戦時中の三陸沿岸部の様子も盛り込みました。
「サヨ」というのは、イタコ(祈祷師)に付けられたヨシさんのもう一つの名前です。二つの名前を持つ負けず嫌いな女の子は、やがて成長し、過酷な時代を持ち前の明るさで生き抜きます。
 常に前を向くヨシさんの生き方は、繰り返す災害や、感染症等に脅かされる現代の人々にも、勇気を与えてくれるに違いありません。
 全国の皆さんから、「涙と笑いが止まらなかった」「ティッシュの箱を握りしめて、3度読んだ」等々、嬉しい感想をいただいています。
 中学生以上にお薦めです。(作者)